デザイン・機能性へのこだわり

秘話

シンプルなファッションを好み、流行りや人の目に流されない。
人よりおしゃれでいたいとも思わないし、人と一線を画すための自己表現もしない。
自分が心地よいものを身に着け、クールで自然体でいる。

そんな我が弟に気に入ってもらえるデザインであること。
そして、綺麗で丈夫で使いやすいこと。
長く使える良いものであること。

こだわったのはこのような点です。

クリスタル素材

デザインのメインとなるクリスタルの素材は、「エポキシレジン」。

熱硬化性の樹脂で、耐水性・耐薬品性・耐候性・耐食性・電気絶縁性などに優れています。
強度な接着剤にも使用されている素材ですね。

カーボンファイバー(炭素繊維)の保護・接着にも使用されており、私の身近で言うとロードバイクに使用されています。
※オーナーは自転車屋さんで働いてます。

makoto.h様作品 / 夜の横浜のサイクリング(ロードバイク)

カーボンフレームは軽くて、アルミ製の自転車に比べると振動吸収もしてくれる優れものですが、フルカーボンの車体なんて25万前後からしかありません。
ちなみに私はクロモリ(スチールの合金)ホリゾンタル(水平なやつ)がクラシカルでかわいくて好きです。

・・・話が逸れました。

よくハンドメイドアクセサリーでお手頃な価格で見かけるのは、UVレジン。
熱硬化性のエポキシと違って、紫外線(UV)ライトを照射して硬化させるタイプのものです。

腰痛めてひとつバイトやめた時、そこで良くしてもらった人に配ったやつ

私が友人の勧めで最初に挑戦したのもこのUVレジンだったのですが、気泡の扱いが非常に面倒なのと、作れる形に少し制限が出てくるのが難点でした。

必ず、ライトが当たる一面が露出した型を作らなければいけません。
片面が平らなフォルムで作りたいならいいのですが、丸いものなどを作ろうと思うと難しい。

二つの型で挟んで成形(二面取り)ができなくて不便なのです。

そして何より、着色すると濁って透明度が失われます。
2色以上混色したり、白系とか混ぜると特に顕著になります。

せっかく綺麗にしようと思って染めると逆に安っぽく見えてしまうという悲しい現象に見舞われます。

友人に送ってみようかと試しに作ったピンク&黄緑のUVレジン勾玉があったのですが、見事に残念な感じになりました。

それに比べると、エポキシレジンの方はかなり透明度が高いのです。

深い色にしようと混色していくと、想像以上の鮮やかな色に仕上がってくれます。
初めて作った時はかなり感動しました。

そして樹脂なので、本物の天然石やガラス等に比べると軽い。
長い時間首にかけていても疲れないですし邪魔にもなりにくいです。
でも、UVレジンに比べると少しだけ重量があって高級感あります。

デザイン的にも機能的にもメリットの多いエポキシレジンですが、デメリットもいくつかあります。

まず、形になるまで固まるのに少なくとも丸一日はかかります。
冬場だと丸二日~三日くらい。

制作過程写真

そして、成分が安定してしっかりするまで一週間はかかるようで。
加工は多少柔らかい方がやりやすいこともあるので、2~3日で始めます。

それと、耐水性や耐候性には優れますが、紫外線には弱いそう。
当たり続けると白くなり劣化していくのだとか。

UVレジンはライト当てればその場で一瞬で固まるので、その分量産できます。
お値段もエポキシレジンに比べれば安価ですし。

ただ、UVレジンは黄色く変色していきます。
黄変しにくい素材もあることはあるようですが・・・

エポキシレジンもUVレジンも、劣化するほどの使い方をしたり年月経たりの経験がないので、写真等をお見せするのは難しいのがなんとも説得力がなくて申し訳ないです。

私は「良いものを長く使う」方が、ひとつひとつの物を大切に、愛着を抱いて持てると思うので、多少お値段が上がっても良いものを作りたいと思っています。

軽くて丈夫で綺麗、そして成形する時デザインに制限の出ないもの、ということでエポキシレジンにたどり着きました。

クリスタルのデザイン

デザインは、弟の感想を経て、名前のついてない抽象的なデザインを目指しました。

これがまたかなり難しかったのです。

弟に試しに作って誕生日に贈ったものは、大小二つの勾玉でした。
弟ご希望の茶系の革紐に、鮮やかな青色・大きめの勾玉がみぞおちに下がるくらい。


それと、チョーカーより少し長めくらいの長さで二重にした黒の革紐に、小さめの勾玉をつけたもの。

長さの希望やデザインの希望がなにひとつ見えなかったので(弟も具体的には思いついてない)、手探り状態で完成までこぎつけたのですが・・・

届いた瞬間、「どう使ったらいいのこれ」というような感じでした。

「長くね?」「勾玉って使いにくい」・・・と。

嗚呼。

長いのは、ああ思ってたのと違ったのか申し訳ない、と。
でも勾玉が使いにくいとは想定外でした。

よくよく聞いてみたところ、明確に名前のついたフォルムは使いにくいと思ってるのでは、と。
個人的にはその見解で落ち着きました。

川の中を転がって角の取れた、河原に落ちてる石のような不規則な丸いものも作ってはみたのですが・・・なんとなく、誰かが作ってそうなものは私が作りたくなかったのでやめました。

最終段階に近づいたくらいの試作

最終的には、ちょっと昔の人が削って作った刃物のような、あえてごつごつした武骨な感じが残るフォルムになりました。

そして、私が最もこだわっていると言っても過言ではないのが、クリスタル本体の「色」。

鮮やかで深みのある、引き込まれるような色に個人的にグッと惹かれるので、私の美的感覚に刺さる色を出すべく何度も試作を繰り返しました。

海や真夏の空のような、濃くて綺麗な真青を目指した「紺碧」。

撮影:私の父
撮影:私

上流の川の深いところに見える、緑がかった綺麗な碧を目指した「浅葱」。

撮影:私の父

私が元々青や青緑が好きなのでこんなチョイスですが、男女限らず身につけられる色ではないかとも思っています。

是非こだわりの色を、眺めて光にかざして、そして身につけて楽しんでいただきたいです。

また、これからの話になりますが、季節限定の色なども用意できたらいいな、なんて思っております。

ネックレス素材について

はじめから弟が「革紐がいい」と言っていたので、金属ネックレスと迷うことはなく革紐を選んでいました。

小さいチェーンの集まった金属ネックレスもおしゃれなのですが、恐らくシンプル好きの派手嫌いにとってはちょっと華やかすぎるのかもしれません。

一歩間違えば「ちゃらい」印象も与えてしまいかねないですし。

革紐は、本革(牛)を使用しています。

合成の革だと劣化しやすく、3年程度しかもたないそうです。
・・・3年はちょっと早すぎるなあと。

本革ですと、使い込むほど味が出て長持ちします。
お手入れして大事に使えば10年くらいは持つそうです。
そしてやはり、見た目としても艶があってストーンが引き立ちます。

革より落ち着いて見えるコットン紐を試したこともあったのですが、やはり耐久性の面で長持ちはしないでしょうし、ストーンが少しくすんで見える気もしました。

金属ネックレスほどの華やかさ、派手さはなく、落ち着いた印象に抑えられる。
そしてレジンストーン部分が引き立ち、さらに長く使えるよう耐久性もある。

その結果、本革の革紐を選びました。

また、本革も「なめす」という作業の間に環境汚染につながっているらしい事実を知ってしまいました。

「クロム」を使うなめし作業が後進国で行われており、現地の人の健康被害や垂れ流しによる河川の汚染がみられるとのこと。

そこで、植物由来のタンニンによるなめし作業を、国内で職人さんが行ってくれているという、「ヌメ革」を使った丸紐を選ばせていただきました。

なにも知らずに安く買ったお試し革紐よりも、手触りが柔らかくてシックで、高級感あります。

個人的にお気に入りです。

ただ、届いたものをそのまま使うと、曲がったところからぱりぱりとひびが入ってしまったので、革用のワックスでコーティングしました。

留め具(クラスプ)について

これまでアクセサリーを積極的に身に着けてこなかった弟にとっては、恐らく「首の後ろで引き輪を引いて留める」だなんて難しくて使ってもらえないかもしれない。

祖母がくれたけど一度も使ったことないネックレス

数センチのアジャスターがあり、多少長さの調整ができる方が、個々の身長やコーディネートを考えると合わせやすいのかもしれません。

けれど、身につけやすい気軽さ、手軽さを重視したかったので、長さは固定になりますがマグネット式のものを選びました。

一般的にハンドメイドのパーツ屋さんで取り扱っているマグネットクラスプは、平面の磁石がくっついて普通に留まり、引っ張ったら外れます。

初めは私もこれで制作していたのですが、自分で作ったものを使って出かけてみた時、ちょっと不安になる出来事がありました。

ーー私の家の周りは、バス停も駅も歩いて行くには遠く車を使う人間が多いのですが、私は駐車が苦手なので、普段自転車で移動します。

働き先まで8km程度ありますが、普通にクロスバイクで通勤しています。

いつだったか、短いタイプの勾玉(自分用の試作品)を身につけ、肩掛けの鞄を提げて自転車で出かけました。

帰ってくると、あれ??ネックレスついてない??……もしかして落とした??

慌てて探すとマグネットが外れており、運よく服の中でとどまってくれていました。
今回は大丈夫だったけれど、これは改善の余地ありだと課題になっていました。

外れにくいマグネットクラスプを探し、なかなかなく
…偶然、アクセサリーの修理等をされている方のサイト知ったのが「マグ・キュート」という名のクラスプでした。

留める時はマグネットが吸い付くように留まりますが、引っ張っただけでは外れない。
けれどワンタッチで簡単に取り外すことはできる。

着脱のしやすさと、身につけた時の外れにくさを両立した、まさに神アイテムです。
初めて知った時は感動しました。

こちらも値は張りますが、機能性・質を重視したいので選ばせていただきました。

※ただし、訳あり品などはお値段をお手頃にするために、前者のタイプで制作致します。

全体デザインについて

レジンストーンと革紐の組み合わせでネックレスを作ってみて、思ったことがありました。

なにか物足りない…

これは、弟に勾玉作った時から少し感じていたことでした。
悪くはないんだけど映えないというか。

そう思って、ヨーロピアンなアンティーク風の金属ビーズを追加してみました。

シンプル好きの弟なので、嫌だと言わないか不安になり、ビーズ有りver.となしver.を両方作って尋ねたところ、有った方が好きかなと言ってもらえました。

金属ビーズは、手作りで925銀製のビーズをこしらえているというメーカーさんもの。

これがまたおしゃれなものが多くて目移りするのです。
弟に、サイズだけ指定して選んでもらいました。

革紐のエンドパーツとクラスプと繋ぐ丸カンにも、もともと銀製を採用してたのですが・・・
(※首の後ろで留めるところの細かい金属パーツのことです。)

弟に試しに作ったものを送ったら、
「なんか飛んでいって壊れた」
ですと。

銀は比較的柔らかく、しかも丸カンという細くて小さいパーツなので、伸びて変形して外れたんだと思います。

柔いので加工はしやすいですし、私も取り付けしやすかったのですが。
無念。

代わりにステンレスを選びました。
医療器具なんかにも使用されるというサージカルステンレスです。

銀もステンレスも、一般的な真鍮製よりはアレルギーの発症しにくい素材です。
よく「合金」という表記のものは真鍮製のことが多いですね。
ただ、どちらも100%アレルギー発症しないわけではないのでご注意ください。

まとめ

上記のような感じで、パーツひとつひとつをデザインやイメージ、素材、機能性等にこだわってしっかり選んで制作してきました。

そしてフォルムや色などデザインに関しても、弟にリサーチしながら、私のこだわりも詰めながら…

派手に見えないけれどおしゃれに見える。丈夫で使いやすくて長持ちする。

これにこだわって練り上げてきました。

弟も、ちょっと面倒だったかもしれないけども、尋ねたらちゃんと答えてくれました。

長くなりましたが、ご覧頂きましてありがとうございますm(_ _)m
またなにかと投稿していきますので、是非今後ともよろしくお願いいたします。

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